マルクス・アウレリウス『自省録』とは?読みにくい?現代人にも通ずる名言の数々。

日々の困りごと

こんにちは!運営人のふるふるです。

約2000年前にローマ帝国の偉人が著した、

『自省録』をご存知でしょうか?

最近だとドラマ『ミステリと言う勿れ』に登場したので、聞いたことあるよ!という方もいらっしゃるかもしれません。

 

『自省録』とは、時の皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌスが、

自分のために書きつづっていた文章をまとめたものです。

今日は忙しい人でも読みやすい、佐藤けんいち訳『超訳 自省録エッセンシャル版』から、

皇帝ながら我々と同じように思い悩んだマルクスについて、

現代の我々にも沁みる名言をピックアップしてご紹介します♪

 

『ミステリと言う勿れ』で聞いたぞ!!読んでみたいけど、難しそう・・・
マルクスなんとかって誰?名前長い!そんなにすごい人??
岩波文庫とかと違ってエッセンシャル版は何がいいの?青空文庫では読める?

そんな風に思った方はぜひこの記事をご覧ください!

マルクスは歴史的にみても大偉人ですので、知識として持っていて損はありませんよ♪

 

この記事を読むメリット
  • マルクス・アウレリウス・アントニヌスとその時代背景がざっくり分かる!
  • 『自省録』の名言を知ることができる!
  • 今悩みが多い人、歴史が好きな人、考えるのが好きな人、ものを書くのが好きな人、前向きになりたい人にオススメ!

それでは、どうぞー!

 

マルクス・アウレリウス・アントニヌスとその時代

マルクス・アウレリウス・アントニヌス(以下マルクス)。

「なんか名前長いなぁ」

と、世界史の授業で感じた記憶のある人もいるのではないでしょうか。

彼は古代ローマの歴代皇帝の中でも、トップクラスの評価を誇る皇帝です。

ストア派の哲学者であったことから、「哲人皇帝」と言われています。

平和を愛した人物と言われていますが、その治世はイメージとは遠く、多くの戦争にあふれたものでした。

そんな超!優秀マルクスとはどんな人だったのか?

またどんな時代に生きた人間だったのか?

解説していきたいと思います。

 

マルクスの生きた時代、パクス=ロマーナ

古代ローマの五賢帝時代。

それは、「人類史上もっとも幸福な時代」と言われるほど、皇帝の治世が安定し、古代ローマが最盛期を迎えた時代でした。

この時代のことをラテン語でPax Romana(ローマの平和)と呼ぶこともあります。

 

五賢帝というからには、賢い皇帝が5人いたわけですね。

即位した順番に、ネルウァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、アントニウス・ピウス、そしてマルクス・アウレリウス・アントニヌス。

紀元80年のネルウァ帝の即位から、五賢帝最後の皇帝マルクスが退位した紀元180年までの約100年間が、いわゆる「五賢帝時代」と呼ばれるものです。

 

おじいちゃん皇帝のネルウァが時代を安定させ、トラヤヌス帝の治世で、古代ローマ帝国の版図は最も大きく拡大。

ハドリアヌスは文化や芸術を愛する皇帝で、治世の半分を視察に費やし「旅する皇帝」とも言われました。また剣闘士によるサーカスや浴場を建設したことでも有名ですね。

次にバトンを受け取ったアントニウスの治世は、五賢帝の中で最も長いにも関わらず、大きな事件がほとんどない、非常に安定した時代を迎えます。

そして五賢帝最後の皇帝がマルクス。彼の治世は徐々にローマ帝国の衰退が見え始めていた時期でした。異民族の侵入にも悩まされ、北方戦線で書いたのが、この『自省録』だったと言われています。

 

「哲人皇帝」マルクスはどんな人?何をしたの?

「許されるならば、本当は哲学者になりたかった。」

そんな風に言われても驚かないほど、マルクスはギリシア哲学に入れ込んでいました。

マルクスは、時の皇帝アントニウス・ピウスの後継者候補として、帝王学を叩き込まれます。

幼少期から哲学を学んでいたマルクス少年は、哲学が好きすぎて、ついには奇行に走ります。

ボロボロのマントを羽織り、地べたにあぐらをかいて、そこで寝ようとしたのです。憧れの哲学者のマネゴトをしたかったわけですね・・・

「汚いからやめろ」と(多分)母親に慌てて止められあきらめたそうですが、

今風にいえば、筋金入りの哲学キモオタクですよね笑

 

そんなマルクスの治世は、疫病や天災に見舞われ、異民族の侵入や内乱も勃発。

少なくともザ!平和!な時代ではなかったんですね。

哲学を愛し、平和を愛した皇帝マルクスは、時代に恵まれなかった人間のうちのひとりでした。

歴史にたらればは禁物ですが、

きっと先代のピウスさんの時代に即位していれば、人類史上類を見ない善政になっていたかもしれませんね。そんな時代をこの目で見てみたかったです。

 

『自省録』をつづった時期や、タイトルの意味

マルクスがどんな皇帝だったのか、ざっくりと説明しました。

異民族の侵入に際して、治世後半の10年ほどは、戦地に身を置きます。

平和を愛した皇帝でしたが、

「皇帝が実際に戦地にいることで、周りの士気は必ず上がる」

そう信じて実践していたようです。

『自省録』を著した皇帝らしい理由ですよね。

 

そもそも『自省録』とは?タイトルはどういう意味?

自省とはなんでしょうか。

じ‐せい【自省】

じ‐せい【自省】  〘名・他サ変〙 自分の言動などを自ら反省すること。 「高慢な言動を━せよ

以上広辞苑から引用。

自分の言動を反省すること、とあります。

つまり『自省録』は、皇帝マルクスが戦地において、夜な夜な自分自身と向き合い、自分の言動・行動の反省をつづったものなのですね。

この「自省録」という訳は、1956年岩波文庫から出版された本の、神谷美恵子氏による翻訳なんだそうです。

それでは英語圏におけるタイトルは一体なんなのでしょうか?

それは、『MEDITATIONS』

メディテーションと読んで、「瞑想」という意味です。

 

まり、『自省録』は、

哲人皇帝が「1人の人間として」自分自身と向き合い、

毎夜瞑想をしながら自省し、その時の想いや考えを書きつづったものなのです。

 

『自省録』を読むと、地中海世界の頂点に君臨したローマ皇帝ですら、

我々と同じような悩みを抱え、葛藤していた様子が窺い知れます。

「どんなにすごい人でも、ベールをとれば、ちっぽけな人間なんだな。」

読んだらきっとそう思えてくると思いますよ。

 

『自省録』に書かれた名言

『自省録』は、全体で12巻487章。

これはマルクス自身が分けたものではないとされています。

今回参考にした『自省録超訳 エッセンシャル版』では、現代人のために選りすぐられた180章が収録されています。

こちらは、その文章の内容を要約した小見出しもつけてくれているので、

古典はとっつきにくいよ〜〜という方でも大丈夫!!

しかもカテゴリ別に章を分けてくれています!!訳者さん優しすぎ〜〜!!!

Amazonプライム会員の方は、現在読み放題無料で読めます!

ぜひコチラから読んでみてくださいね♪

 

ちなみに、電子書籍の図書館「青空文庫」では公開されておりませんでした。

 

章分け

以下、『エッセンシャル版』からの章一覧(目次)

  1. 「いま」を生きよ
  2. 運命を愛せ
  3. 精神を強く保て
  4. 思い込みを捨てよ
  5. 人の助けを求めよ
  6. 他人に振り回されるな
  7. 毎日を人生最後の日として過ごせ
  8. 自分の道をまっすぐに進め
  9. 死を想え

訳者の佐藤けんいちさんがカテゴリごとに振り分けているので、実際はこの順番に並んでいるわけではありませんが…

この目次を見ただけで、現代人が思い悩んでいるようなことが多くありませんか??

目次だけ暗記しても、人生の指針が定まりそうな勢い。笑

 

名言ピックアップ3選

たくさんありすぎて正直選べないのですが、、、

3つだけピックアップしてみました。

え、なんかいいじゃん!と思った方はぜひ『エッセンシャル版』をまずは読んでみてください!

もちろん岩波文庫などの他の作品でもOKです!

 

失われるのは現在のこの一瞬だけだ

たとえ君が三千年、いや三万年生きるとしても覚えておくといい。いま生きているこの人生の他に失うものはなく、いま失いつつあるこの人生のほかに生きるものはない、ということを。長命だろうが、短命だろうが、それは同じことだ。

そして、いまこの「現在」という時は誰にとっても同じであり、したがってそれを失うこともまた、誰にとっても同じなのである。失われるのは、現在のこの一瞬だけだ。だから君は、過去を失うことも未来を失うこともない。

いったい自分がもっていないものを、どうやって失うことができるというのか?

(2-14)

(『超訳自省録エッセンシャル版』より引用)

 

この文章で、マルクスは、

「君は、過去を失うことも未来を失うこともない」

と言い切ってくれています。その文章の頼もしさが好きです。

人はみな、過去にとらわれて、未来に不安を抱く生き物ですよね。

そして身動きが取れなくなる。

私もそんな人間のうちのひとりです。

「何クヨクヨ不安がってるんだ。失うのは今だけ。お前の大切な過去も未来も、ずっとお前のものだから、心配するな」

そんな風に言ってくれたようで、この言葉を受け取った当時の私は、少しだけ目の前が明るくなったような気がしていました。

 

しっかりするんだ、自分!

なんと恥ずべきことか!

わが人生では肉体がまだ持ちこたえているというのに、魂の方が先にくたばってしまうとは!

(6-29)

(『超訳自省録エッセンシャル版』より引用)

 

戦地から帰り、これを書きつづっているマルクスを思わず想像。

何があったんだろう。

だいぶキッツイことがあったんだろうな。くじけそうになることも、あるんだな。

短い言葉で、自分を奮い立たせているその姿に勇気づけられます。

 

あたえられた環境に適応せよ

あたえられた環境に自分自身を適応させることだ。めぐりあわせで運命をともにすることになった以上、おなじ組み合わせとなった人たちを愛することだ。ただし、形だけでなく、心底から愛することが大事だ。

(6-39)

(『超訳自省録エッセンシャル版』より引用)

 

「その環境に自分を適応させる」

それが社会に出ると必要なすべであることが、なんとなく分かる時期が来ます。

マルクスはそれでけでなく、「形だけでなく、心底愛することが大事」と自省しています。

これがどれだけ難しいことか。

正直、私はまだまだ彼の足元にも及ばないな、とひとりで反省しました。

好きな人ばかりじゃないのが社会であり、人間関係が悩みのタネになりがち。

そんな環境でも、この言葉を忘れずにいることが、自分はできるでしょうか。

 

最後に 2000年前から人間は大して変わらないのかも

まだまだ紹介したい名言がたくさんあるのですが、キリがないのでこの辺で今日はおしまいです。

実に2000年も前の人間の考えが、現代人にも通ずるということがまず驚きです。

言葉も文化もまったく違うけれども、ホモ・サピエンスが抱く悩みというものは、長い年月を通しても共通しているのですね。

この作品を読んで分かることがあります。

何百年前だろうが、何千年前だろうが、

全ての人間が、人間に生まれたゆえに、同じように悩み、生き抜いて、死んでいったという事実。

そして、人間はずっと昔から、同じように思い悩んできて、2000年たった今でも、その悩みを根本的に解決する方法はないという事実です。

2000年たっても悩みが尽きないのであれば、ちっぽけな私たちなんかは、まあどうすることもできないでしょう。

どうすることもできないって分かっただけでも、悩み多き現代人としてはよしとしませんか?

悩まなくていいとか、そういうことではなく、です。

 

マルクス・アウレリウス・アントニヌス『自省録』

2000年という時の重みが、きっと少しだけ、悩みを解きほぐしてくれるかもしれませんよ。

 

 

参考書籍、参考サイト様

『超訳 自省録 エッセンシャル版』マルクス・アウレリウス・アントニヌス作、佐藤けんいち訳、株式会社ディスカバー・トゥエンティーワン、2021年

『教養としてのローマ史の読み方』木村凌二作、PHPエディターズ・グループ、2018年

サイト 世界史の窓

 

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